








**「あの日の光の中で」**
八幡坂 朝の霧
石畳に 影ふたつ
教会の鐘 遠く揺れて
マフラーを巻く彼方が笑う
なんでもない日が 愛しかった
時間(とき)に願えたら 彼方に触れたい
もう一度だけ 函館の朝に還れたら
路面電車の音が 胸を打つ
コーヒーの湯気 彼方の横顔
今日という名の奇跡を 抱いて
港に降る 細い雨
赤レンガに 濡れる傘
「もう少しだけ ここにいて」
その声が 今も残ってる
泣いた夜も 笑った午後も
全部、全部 彼方だったんだ
もう一度だけ あの坂を登れたら
彼方と並ぶ景色が 時をほどく
波の音が 今日を包んでも
私は今を 彼方と生きてる
古い本棚の裏に
閉じた時間の鍵
父が言った「二度目の今日を、丁寧に」
それが 私の旅の意味
もう過去に頼らなくてもいい
彼方と出会った日々がある
光の中で 手をふる彼方
私はいま この場所で
あの日の光の中で
まだ 歩いてる 函館の朝を
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