








**「流れ花」**
古びたネオンが滲む 小さな町のカウンター
擦れたグラスを磨きながら 過去をひと口飲み込んだ
東京の夜は遠く 夢もいつか擦り切れて
行き場のない心だけが ここに流れ着いた
名前なんて偽りでいい
誰かの腕に溶ければいい
愛を語るには もう疲れすぎた
流れ流れて この町で
誰かの温もりをなぞるだけ
消えない口紅の跡が
寂しさを隠してる
知らない男の煙草の匂い 染みついたドレスの裾
「キレイだね」なんて言葉も もう何度目かも忘れた
安いウイスキーの苦さ 染みるようになった頃
笑い方さえも 少し上手になった
夢を見たら苦しくなる
帰る場所なんてもうないのに
夜の隙間で 息をするだけ
流れ流れて この町で
愛も嘘も絡まるまま
乾いた指先を絡めて
朝を待ち続ける
いつかここを出ていくの?
それともここで終わるの?
答えは風の中 ただ漂うだけ
流れ流れて どこへ行く
心の行方も知らぬまま
静かな月に照らされて
今夜もただ 笑うだけ
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