**「冬の旅」**
海沿いの道を 北へと走る
錆びたガードレール 冬の波が砕ける
「函館で夜景を見よう」
無邪気な声が やけに遠く聞こえた
トランクの中 積まれた地図
どこへ向かっても 戻れないこと知ってる
白い観覧車 遠く霞んでく
君が指差した イルミネーション
凍えた指で触れたマグカップ
温もりさえ 消えていく
小樽の運河で 寄せた波の音
沈む街灯が 二人の影を伸ばす
「かまくらで飲む熱燗ってさ」
君が笑った けど目は伏せたまま
五稜郭の雪の上 並んだ足跡
振り返れば もう重ならない
湯気の向こうに 消えるラーメン
君がすする音 やけに愛しくて
けれど言えない 「もう少しだけ」
そんな言葉は 嘘になる
「この旅が終わったら」
言いかけた言葉
冬の風に さらわれていった
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