







**「襟裳岬の恋」**
強風(かぜ)が頬を裂いて 砂が視界を奪う
君の声 遠く響いて 波に消えてく
「寒くない?」って聞いたら 無理に笑った君
震える肩に 触れられずにいた
襟裳の夜は 眠らない風の檻
僕らを試すように 吹き荒れる
凍てつくこの愛が 砕け散るとしても
嵐の中 そばにいたかった
君の指のぬくもり 失くしたくなくて
荒ぶる風に 抱かれながら
灯台の光さえ 闇に飲み込まれて
言葉はもう意味をなくし 唇だけが冷たい
「行かないで」と叫べば 君は壊れそうで
強がるように 風を見つめた
襟裳の冬は すべてをさらってく
僕らの影も かき消すように
叫んでも届かない 愛があるのなら
この嵐に 飲み込まれてもいい
君がいた証だけ 胸に刻むから
吹きすさぶ風よ まだ止まないで
「君がいなきゃ もう歩けないんだ」
そんな言葉も 凍りつく
凍てつくこの愛が 砕け散るとしても
嵐の中 そばにいたかった
君の指のぬくもり 失くしたくなくて
荒ぶる風に 抱かれながら
襟裳の空に 朝焼けが滲む
ふたりの影が 風に溶けていく
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