オリジナル曲♪
**「遠い岸」**
二十歳の春に出会った 名前も知らぬ通りで
あなたは傘も差さずに 雨の中歩いていた
それから十年 同じ屋根の下で暮らし
子を育て 借金を返し 何も語らず生きてきた
戦争のような日々だった 言葉ではなく沈黙で
互いを守り 互いを削り それでも手を離さなかった
あなたの手には火傷の痕 私の背には古い傷
それぞれの過去を抱えたまま 一つの道を歩いてきた
運命とは選んだものではなく
選ばされたものだと 今ならわかる
それでも後悔はしていない
この道の果てに あなたがいたから
遠い岸で また会おう
言えなかった言葉を 携えて
別れは終わりではなく
続きを託すことだと 知ったから
(never let go...)
遠い岸で また会おう
あなたと生きた事実だけが
私の人生そのものだったと
胸を張って言えるから
病室の窓から見えた 桜が散っていく様を
あなたは黙って見つめていた 何も怖くないという顔で
「先に行くだけだ」と笑い 私の手を握り返した
その手の温度を 今でも覚えている
宿命とは残酷なものだと
若い頃の私は思っていた
けれど今は違う言葉で呼びたい
あなたと出会うための道だったと
遠い岸で また会おう
言えなかった言葉を 携えて
別れは終わりではなく
続きを託すことだと 知ったから
(stay with me...)
遠い岸で また会おう
あなたと生きた事実だけが
私の人生そのものだったと
胸を張って言えるから
あなたがいない朝も
あなたがいない夜も
確かに私は生きている
あなたと生きた分だけ強くなって
(we lived...)
遠い岸で また会おう
今度は言葉を惜しまずに
別れは愛の終わりではなく
証明だったと 今なら言える
遠い岸で また会おう
あなたと生きた四十年が
私という人間のすべてだったと
迷わず言えるから
遠い岸で
また
会おう


