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**「冬の星座の下で」**
坂道に積もる静けさ 白い息がほどけて消える
オレンジ色の街灯が 細い影を長く伸ばした
赤いマフラーの君の背中
風に揺れるたび ふわりと滲む
遠くで響く鐘の音 雪に吸い込まれるように
言葉よりも 心が先に揺れた
冬の星座の下で 凍えそうな夜がふたりを包む
君が見上げたあの空に いくつ願いを託しただろう
指先でなぞる白い吐息 触れそうで触れない距離
それでも並んで歩いたことが すべてだった
ガラス窓に映る灯り 消えかけたネオンの青
駅のホームに舞う新聞紙 夜風が淡くちぎっていく
誰かの歌が遠くで流れ 懐かしいメロディに足を止めた
「覚えてる?」と君が微笑む
微かに残るSpotifyの音
いつかの冬も こんなふうに
同じ景色を見ていたのかな
冬の星座の下で 交わす言葉も白く滲んで
誰よりも近くにいたのに 心だけ遠くなっていた
踏みしめた雪の音が 思い出を刻むみたいで
何も言えずに並んだまま ただ夜を仰ぐ
信号が変わる 青い光の中で
一瞬だけ重なった吐息
「またね」と言わなかったのは
この冬が終わらないように
冬の星座の下で 今も君を思い出す
赤いマフラー オレンジの灯り 小さく手を振った姿
もしももう一度会えたなら 何を伝えられるだろう
雪がそっと積もるように 静かに夜が明けていく
遠ざかる足音が 白い世界に消えていった
冬の匂いだけが そこに残った
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