**「雪山が知ること」**

私は雪山　静寂(せいじゃく)の守り手  
吹きすさぶ風が　古き命を運ぶ  
深く眠る森に　響く足音  
一つまた一つ　消えてゆく影  

時を越え　命の声  
私の胸に　記(き)される真実  

雪山が見た　愛と孤独の物語  
白い羽根のように　散る命(いのち)たち  
幾度も繰り返す　夢と別れの中  
ただそこにある　無情と温もり  

焚火の灯(あか)り　温める誓い  
隠された秘密が　雪に染み込む  
人の心は　凍りつく刃（やいば）  
だけど春が来れば　それも溶けゆく  

命の灯火（ともしび）を　抱く者たち  
私の胸に　刻まれる願い  

雪山が守る　希望と絶望の境界  
幾千の星屑が　夜空を飾る  
消えゆくその瞬間　新たな息吹が  
ただ巡りゆく　永遠の命  

雪がすべてを覆(おお)い尽くすたびに  
罪も愛も　過去も未来も  
それでも私は見つめ続ける  
人が紡ぐ命の軌跡を  

雪山が知る　すべての答えは  
白き風とともに　還る場所へと  
嘆きも歓びも　吹き消されながら  
新しい朝が　また訪れる  

私は雪山　見守るだけ  
幾多の命が　織りなす旅路