2003年6月21日、大猫平1857mより剣岳北面を望む
剣岳北方稜線に連なる「毛勝三山」は山慣れた登山者に知られようになったが、第一級の山岳展望を誇る「大猫山」は未だ馴染みが薄い。剣岳早月尾根の登山口である馬場島から、左手の白萩川に延びる林道を4〜50分ほど歩くとブナクラ堰堤で、広場のヤブの一角に小さな標識がある。灌木の急坂を登り詰めること3時間、突然平坦な大雪原が広がった。夏には、大小の池と花々が咲き乱れる「大猫平」である。逆光のため見ずらいが、最高点が剣岳山頂2998mで、右手に長大な早月尾根が延びる。直下に、深い切れ込みを見せる「池ノ谷」の雪渓が望める。山頂左手にＶ字の切れ込み「池ノ谷乗越」と「三ノ窓」が続き、左手の鋭いピークは「小窓ノ王」で、小窓尾根が白萩川に向かって一気に落下している。さらに左手の大きく開けたＶ字の鞍部が「小窓」で、池ノ平山が左に続く。「岩と雪の殿堂」と呼ばれる剣岳が、これほど正面から望める山はないであろう！