







**「時の檻」**
静けさに割れる鐘の音
誰もが見ないふりをして
繰り返す朝 形を変えて
また 一日が過ぎてゆく
壁に映る 伸びる影
それはまるで 忘れられた約束
過ぎ去った少年の日の声は
どこにも届かず 風に溶けていった
「まだ間に合う」そんな幻想を
抱きしめながら 今日も眠る
時計の針は嘲笑うように
次の瞬間を ただ示しているだけ
駆け出したって 逃げきれやしない
この歯車の檻からは
誰かの声が遠くで叫ぶ
「君はもう 遅すぎるんだよ」と
時よ 止まれ と願った夜に
何を手放してきたんだろう
夢の残骸を抱いて走る
追いかけてたのは 昨日か明日か
道は消えて 地図さえなくて
ただ目の前に 沈む夕陽
心の奥 誰にも見せず
錆びた涙で 鐘が鳴る
写真の中 笑う誰か
時間の中で 置き去りにしたまま
後悔さえも 抱く腕もなく
空っぽの手で 闇をなぞる
見上げた空 星の瞬き
あの日と同じはずなのに
なぜこんなにも冷たく映る
僕の時間だけ 止まっているようで
時よ もう 戻れないけど
忘れたふりも できないまま
繰り返す今日に意味を探す
錆びた日々も 僕の歌になる
誰もがいつか この檻を出て
風に名前を 委ねるだろう
だからせめて 今を刻もう
鳴り止まぬ この鐘の音とともに
tick...
tick...
tick...
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