**「彼女の幻影 」**

部屋の片隅　誰かが眠る  
静かに目を閉じて　ふわりと浮かぶ夢  
私が忘れてしまった　あの優しい日々も  
ここにあるんだと　そっと囁く声

ねぇ　あの頃は　信じてた  
未来はいつだって　輝くと  
だけど光はぼんやりと  
遠ざかってくばかり

ねえ、私を連れてって  
夜の帳を抜け出して  
あの日の記憶に触れたい  
壊れやすくも　暖かい  
あの頃の私がここにいた

星のない空　静かに包まれて  
二人で影を交わすたび  
心の奥にある　忘れられない痛みも  
隠し続けた涙も　風に解けてく

ねぇ　どこまでも　飛び出したい  
夢の中でだけ　自由になれる  
だけど現実は冷たくて  
眠れぬ夜が続く

ねえ、私を導いて  
遠い記憶の国へと  
触れたら消えそうな光に  
震えながらも　求めるよ  
あの優しさをもう一度
 
朝が来る頃　影は消える  
現実の色が戻って　また一人  
だけど心には　小さな足跡  
私を信じて　進むための道しるべ

ねえ、いつかまた逢えたなら  
微笑んで手を振るよ  
きっと、もう怖くないから  
自分の足で進むから  
過去も痛みも抱きしめて

ありがとう  
夢の中で教えてくれた  
私が私を　見つけるための  
静かな勇気