**「雪の旅路」**

雪深い夜の静寂
銀の帳が降りる
灯火に揺れる君の影
消えては溶ける夢模様

絡む吐息が曇らせた窓
遠く響く汽車の音
寒さに宿る温もりを
君の瞳が映してた

雪の国で出会った奇跡
消えゆく時を抱きしめて
流れ星も凍える夜に
二人の心だけが揺れる
  
琴の響きが誘う夜
湯気に溶けた君の声
嘘と真実まぜた言葉
鏡に映る影のよう

天の川を渡れば白銀
何もない雪の世界
指先そっと触れた刹那（せつな）
記憶の雪崩がこぼれた

雪の国で語った夢は
春の陽には還れない
ただ君を見つめたその夜が
心に静かに降り積もる

鏡花のように揺れる君
儚い命燃やしながら
遠ざかる汽車の窓越しに
君の手が最後の温もり

雪の国で溶け合う影が
春の風に散りゆく夢よ
忘れ得ぬ白銀の時（とき）を
胸に刻み続ける旅路

雪が消えても消えない想い
君と見た世界は永遠
白き旅路に降り積む歌が
今も響く愛の調べ